畳のへりを踏んではいけないといわれる理由。畳のへりの選び方も解説します
古い時代より、畳の上を歩く際には「畳のへりを踏むのはご法度である」とされてきました。畳のへりを踏んではいけないことは知っていても、その理由までは知らないという人は多いかもしれません。
今回はそんな「畳のへり」について、踏んではいけないといわれる理由を解説していきます。また、畳のへりを選ぶ際のポイントもご紹介しますので、知識としてぜひ身に付けておいてください。
▼畳のへりとは?
「畳のへり」とは、畳の2つの長辺に縫い込まれた布地部分のことを指します。畳の製作時に、表面にかぶせるゴザの見切りとして布地を充てる形です。畳おもての角を補強し、畳と畳の間にできてしまう隙間を埋めるという役割を果たします。
そんな畳のへりですが、「畳縁(たたみべり)」とも呼ばれ、現在ではシンプルなものから鮮やかな色柄物まで多くの種類があります。軽くて丈夫な素材であることから、最近では畳だけでなく、小銭入れや髪飾りなどハンドメイド作品の材料としても注目を集めています。
しかし多くの方は、普段の生活の中で、畳のへりの存在をそれほど意識していないのではないでしょうか。「畳のへりを踏んではいけない」という理由を知り、畳のマナーについてより深く理解しておくことも大切です。
▼畳のへりは踏んではいけない?その理由とは
畳のへりを踏んではいけない理由には、主に次の4つがあると考えられています。
・畳が傷むのを防ぐため
・結界を意味するから
・家紋を踏むことになるため
・刺客から身を守るため
では、ひとつずつ説明していきましょう。
■理由①畳が傷むのを防ぐため
古来より畳は植物染料で染められていました。植物染料で染められた畳には、色落ちがしやすいなど耐久性が低いというデメリットがありました。そのため畳が傷むのを防ぐために、強度が高い畳の中央部を踏むようにしていたといわれています。
明治11年頃に新しい染色技術が開発され、現在の畳は強度が向上していますので、物理的には畳のへりを踏んだとしても劣化が進むわけではありません。
■理由②結界を意味するから
まずは結界から説明します。結界とは、2つのエリアについてそれぞれの区域を制限する境界線を意味します。特に家の敷居は、聖と俗、外界と内界といった異なるエリアの境目として、結界の役割を果たしていると考えられてきました。同様に、畳のへりも結界のひとつだと見なされているのです。
畳のある和室では、床の間に近くて入り口から一番遠い席を上座としてお客様を通し、逆に入り口から一番近い席をその家の主人が座る下座とするマナーがあります。この上座と下座の境目となるのが、畳のへりです。畳のへりを踏むことは相手の格式を無下にする行為となりますので、畳のへりは決して踏んではいけないといわれています。
■理由③家紋を踏むことになるため
武家社会であった江戸時代には、畳のへりに家紋を編み込んだ紋縁(もんべり)が使われるようになりました。紋縁にもさまざまな色や柄があり、身分の高さによって区分されていたとの話もあります。
武士にとっての家紋とは、家の権威を表す重要なものです。その家紋が入っている畳のへりを踏む行為は、相手を侮辱したのと同じこと。このような理由から、社会的地位を表す畳のへりを踏むことはご法度だったのです。
■理由④刺客から身を守るため
戦乱の時代だけでなく江戸時代にも、刺客から身を守るために畳のへりを踏まないようにしていたといわれています。
下にいる敵にとっては、畳と畳の隙間は槍・刃物といった武器を差し込んで攻撃できる格好の場所です。また、その隙間からの光加減を頼りに、畳の上にいる相手の居場所を特定することができます。このような敵からの襲撃を避けるために、武士は座るとき、食事時、就寝時などでも畳のへりを踏まないようにしていたとされています。
ご紹介した4つの理由は、現代では遠い話のように感じられるかもしれません。しかし畳のへりを結界と見なすアジア特有の思想は、私たちにも理解できる部分があるのではないでしょうか。畳のマナーとして、畳のへりは踏まないように意識することは、やはり大切だといえるでしょう。
▼畳のへりを選ぶ際の3つのポイント
現代では、畳のへりに家紋を入れるだけでなく、遊び心のある色柄が入っているものを選ぶことも可能です。こちらでは、畳のへりを選ぶ際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
■畳のへりを選ぶ際のポイント①色
部屋のイメージに合う色や、期待する効果を持つ色で決めるのもオススメです。
・緑色:リラックス効果
・青色:キリっとしたイメージ、集中力アップ
・黄色:元気で明るいイメージ
・ピンク色:かわいらしいイメージ
■畳のへりを選ぶ際のポイント②柄
畳のへりの柄には、家紋入りの伝統的なもの、花、葉、キャラクター入りのものなど幅広くあります。また柄の入った畳のへりを選ぶと、汚れやシミ、日焼けなどの跡がわかりにくいです。カタログの写真だけでなく、サンプルなどで実際の手触りや柄を確認することをオススメします。
■畳のへりを選ぶ際のポイント③素材
綿、麻、化学繊維などの素材がありますが、色柄を楽しめて耐久性がいいのは化学繊維です。綿や麻素材は手触りがよく、高級感もあります。
▼まとめ
畳のへりは、畳の2つの長辺を保護する役割を持っています。また、「結界を意味する」や「家紋入りのため格式を表す」「刺客からの攻撃を避ける」といった理由から、古くからそのへりを踏んではいけないとされてきました。畳のへりを踏んではいけないというマナーも、理由を知ることで意識できるものです。
島袋たたみ店では、初めてご依頼いただくお客様へ、サンプル資料やカタログを持参してご案内させていただきます。ご予算とご要望に合わせて、ぜひお好みの畳のへりをお選びください。