最近では、イ草で作られた一般的なイ草畳以外にもさまざまな種類があります。そのため、「家作りで和室を設けたい」「リビングの一角に畳を敷きたい」「古くなってきたのでそろそろ畳を新調したい」という場合、どのような畳を選べば良いのかわからないという方も多いかもしれません。
そこで今回は、畳の種類を素材別、形状別にご紹介していきます。畳を選ぶ際にぜひ参考にしてください。
▼畳の構造とは
畳の種類について知るには、まずは畳の構造を把握しておく必要があります。一般的な畳は次の3つの部位で成り立っています。
・畳表(たたみおもて)
・畳床(たたみどこ)
・畳縁(たたみへり)
■畳表
畳の表面にあたり、ちょうど私たちの目に見える部分が「畳表」と呼ばれる部位です。イ草や和紙といった素材で作られたゴザでできています。人の歩行や家具の足、日光による紫外線などが直接当たるため、劣化具合がよくわかる部位だといえます。
畳表のゴザはリバーシブル仕様になっていますので、劣化した際にはゴザ部分をひっくり返して使用することができます。これは「畳の裏返し」と呼ばれるメンテナンス方法のひとつです。
■畳床
畳の内側にあり、畳を支えている芯部分は「畳床」と呼ばれています。一般的な畳の畳床は乾燥わらなどを積み重ねたり断熱材を入れたりして作られていますが、中には畳床に防虫シートや調湿シートを挟み込んでいる商品もあります。
現在は断熱材入りの建材床が主流であり、調湿床や昔ながらのわら床よりも割安となっています。
■畳縁
畳縁とは、畳の2つの長辺部分に縫い付けられる布地のことです。畳表のゴザ部分の切れ端を処理する形で畳表の角を補強する役割があり、畳全体も保護します。江戸時代には家紋を入れた畳縁(紋縁)が使われていましたが、現在はシンプルなものから鮮やかな色柄物までたくさんの種類から選ぶことが可能です。
畳縁は、和室をおしゃれにしたい人のこだわりポイントのひとつでもあります。
畳の構造でご紹介したうちの「畳表」について、もう少し詳しく解説していきましょう。畳表に使われる素材の主な種類は「イ草」「和紙」「樹脂」という3つにわけられます。昔から馴染みのある畳はイ草で作られた畳ですが、最近では畳表に耐久性に優れた和紙や樹脂などの素材を使った畳も普及しています。
それでは、畳表に使われている素材別に畳の種類をご紹介しましょう。
■イ草畳
自然素材のイ草を材料に作ったゴザを畳表に採用した畳です。高い吸湿機能と消臭・脱臭効果をもち、気持ちのいい踏み心地や癒し効果をもたらすイ草の香りがあるのが特徴です。
上にカーペットなどを敷いたり、風が通りにくかったりする場所では湿気が溜まりやすく、カビやダニの発生に繋がる可能性があります。自然素材でできているため、他の素材に比べて日焼けや摩擦による劣化がしやすい点もデメリットだといえるでしょう。
■和紙畳
こより状に加工した和紙を樹脂でコーティングし、さらにパイプ状にして交互に編み上げた和紙でできたゴザを畳表に使用したのが和紙畳です。研究開発により、イ草のクッション性や吸放湿性能をできるだけ再現しながら、優れた耐久性や耐水性を実現しています。カビやダニに強く、イ草アレルギーの人でも安心して使えるのも特徴だといえます。
多くのメリットがある反面、イ草畳よりも硬い、高い調湿効果は望めない、高価であるといったデメリットもあります。しかしながら、豊富なデザインやカラーから選ぶことができるため、最近では和紙畳を選ぶ方も増えています。
■樹脂畳
樹脂畳は、主にポリプロピレンという素材を使って作られたゴザを畳表に使用した畳です。「ビニール畳」や「プラスチック畳」と呼ばれることもあります。耐水性や耐久性に優れ、掃除も楽ちんなのがメリットです。小さなお子さんがよく使うお部屋や宴会場など、濡れやすい場所で大活躍します。
表面が樹脂でできているため、他の素材のような調湿効果はありませんが、ダニやカビに強いというメリットにつながります。滑りにくいため、高齢者の方にもオススメです。
▼畳の形状の違いによる種類わけ
畳は、「畳縁の有無」「長方形と正方形」といった形状によってもいくつかの種類にわけることができます。
■畳縁の有無
一般的な畳といえば縁(へり)があるイメージが強い方も多いかもしれませんが、最近では縁のない畳もだいぶ普及しています。畳縁の有無でお部屋の雰囲気も大きく変わりますので、縁の有無から畳の種類を選ぶという方法もあります。
畳縁のある畳は部屋を引き締めてくれます。一方の畳縁無しの畳は、畳表の素材の網目のもつ美しさを楽しむことを目的として、故意に畳縁を付けていません。基本的に半畳サイズのため、畳表の網目を縦横交互に敷き市松模様にするなど、モダンな和室を作ることができるのがメリットです。
■長方形と正方形
長方形型の畳が一般的ですが、和紙畳や琉球畳などは半畳サイズの正方形が基本となっています。形の違いから畳を選ぶという方法もアリです。
▼まとめ
畳の種類は、主に畳表にどのような素材を使っているかによって、大きく3種類にわけることができます。それぞれメリットやデメリットが異なりますので、ご自身の希望に合ったものを選びましょう。またデザイン性の面で考えると、畳縁の有無や長方形・正方形の違いなどで、畳の種類をわけることもできます。
島袋たたみ店では素材別、形状別の畳を豊富に扱っています。気になる畳があれば、どうぞお気軽にお立ち寄りください。